気ままに通信
「NPO法人市民後見いきいきNet所沢」てどんな活動をしているの? 私も参加できるのかしら・・・ 相談してみたいことがあるんだけど、などの声にお応えし、私たちの活動を知っていただきたく皆さまと繋がれるページを設けてみましたページの更新は不定期ですが年に数回を目処に<気まま>に書いていきます
2025年6月20日
《トピックス》
令和6年度埼玉県市民後見人養成研修が実施されました
県内における成年後見制度の利用促進のため、制度の理解普及と後見人の担い手を確保することを目的として、令和6年度埼玉県
市民後見人養成研修が令和6年12月から令和7年3月まで実施され、募集定員100人に対して76人が応募、所沢市からは16人が参
加、当NPO法人からも3名が参加しました
研修は30時間程度の動画視聴と視聴後の課題提出、3月18日には5時間程度の集合研修が行われました。カリキュラムの詳細は
「彩の国埼玉県」のホームページを参照してください。shiminkoken_karikyuramu.pdf
(実施主体 社会福祉法人埼玉県社会福祉協議会)
その後、所沢市から参加した人から当NPO法人のことを知りたいと連絡があり、5月から会員として活動を始めました。
***当NPO法人からの参加者の感想を紹介します***

埼玉県市民後見人養成講座を受講して
☆あまり深く考えずに申し込みをしましたが、最初に24項目の動画視聴があり、
できるかなと不安になりました。一緒に受講した人と時々話しながら励ましあって
無事に終了することができました。
いろいろな制度や家庭裁判所の役割、専門職後見人と市民後見人の違い、そして
今後市民後見人の育成が望まれていくことなどを学ぶことができました。
一番心に残ったことは「意思決定支援」の考え方で、支援される側の意志にしっかり
と寄り添える支援を行いたいと思います。(Aさん)
☆レジュメを印刷したところ多量で資料を読む時間が取れず大変苦労しました。
憲法についてなどの難しい内容で困惑しました。
一つ一つ思い出しながら問題に直面した際の参考になると思います。
勉強をする機会があってよかったと思います。(Bさん)
☆母の介護も終了したところで気楽にボランティアがしたいのだけど
紹介して‼と知人に頼みました。後見の仕事が何なのかを知らず、二人
ペアで活動、委託されたことをやると聞いてまずは始めた活動。活動に何も
問題は無かったけれど研修会があるというので参加させていただきました。
法律がしっかりと基礎にあっての活動だという意味が理解できました。また、
活動と法律が一体となって私たちの活動があるということがわかりました。

《あんな事例こんな事例》
自分の家で暮らしたいの
彼女は70代後半の独身女性、生まれつき体が不自由で常に車いすを必要とする生活を送っている。若いころは身障者用の車を運
転するなど活動的に過ごしていたが、70歳を過ぎた頃怪我をして入院し、退院後は自活が無理ということで施設に移った。親族
は高齢の兄が遠方に住んでいるのみ。将来のことを考え私たちと移行型の任意後見契約を結んだ。
月1回担当者が施設を訪問して話をするうちに自宅のマンションに帰りたいという気持ちが強くなってきていることがわかった。
しかし身障者で高齢、要介護 5 の人を自宅へ帰すことができるだろうか。そんな思いを持ちつつ彼女の気持ちを時間をかけて確
認するうちに、担当者の中に願いを叶えてあげたいという思いが強くなってきた。
自宅に帰してあげたい!
まずはケアマネージャーを探すところから始まった。果たして「24時間介護が必要な人の独居自宅復帰」という高いハードルを
越えることに協力してくれるケアマネージャーはいるのだろうか。数人にあたってみた。なかなかうんと言ってくれる人が見つか
らない。そして2か月ほどしてやっと引き受けてくれる人が見つかった。
ケアマネージャーは福祉用具関連業者、夜間介護事業所、日中介護事業所、デイサービス介護者らに声をかけ意欲的に自宅復帰プ
ランの作成に取り組み、さらに支援者、当NPO法人担当者等を加え10名近くから成る自宅復帰支援チームを編成した。声をかけ
られたメンバーはそれぞれプランを作り、自宅復帰 1 か月前には関係者会議を開いて復帰に向けたタイムスケジュールを組み立
てた。自宅で暮らすための移乗用のリフトの取り付けなど自宅改修を行い、予定通り夏の暑い日に自宅復帰が 実現した。

自宅に戻った彼女、おいしいものが大好きで、好きなものを食べながら自分のペースで大好きな自宅で過
ごせることに満足している。その穏やかな笑顔を見て本人の希望を叶えることができたことを担当した人は
うれしく思った。部屋には24時間の各サービスの予定表が貼られている。
また自宅での生活が落ち着いたあたりからデイサービスやショートステイを利用するようになりメリハリ
のある生活が送れている。
自宅に戻って 2 年近くが経過した頃、認知機能の衰えが目立つようになってきた。委任契約から任意後見
契約に移行することも考えなくてはならない時期に来ている。場合によってはまた施設入所もあり得るの
か、どこまで自宅でできるのか、注視していく必要がある。

<ふ>
2025年1月30日
《トピックス》
令和6年度法人後見に関する情報交換会に参加しました
12月16日、こどもと福祉の未来館において、所沢市で法人後見の活動を行っている法人を対象に法人後見に関する情報交換会が
開催され、当法人も含めて4団体が参加しました。
まず、地域福祉センター職員から「市の報酬助成について」、令和6年4月からの改正点について説明。高齢者を対象とした「本
人・親族による」申立て費用及び後見報酬も助成が受けられるようになったこと、また知的障害者・精神障害者の同様の助成の所
管が地域福祉センターとなり、高齢者の助成と一本化されたことなどの説明がありました(要件などの詳細は市HPを参照してく
ださい)

次に「身寄りのない方の死後事務について」、 はなみずき法律事務所弁護士 近藤宏一先生から、①火葬埋
葬について、②相続財産について、の内容で 後見人にできることは何かという視点で説明がありました。
死亡届の提出・火葬埋葬については、「後見」 と「保佐・補助」で若干の違いはあるものの民法に則って後
見人が行うことができるということでした。 相続財産の扱いについては、2023年4月1日に施行された民
法改正により、相続人がいない場合の相続財産 の管理・清算は「相続財産清算人」、相続財産の管理のみは
「相続財産管理人」の選任を申立てることになったこと、また、両者の詳しい違いについての説明がありました。話の内容をここ
に記すと何ページにもなってしまうくらい、短い時間の中にギュっと濃く内容が詰まっていてとても有意義でした。今後の私たち
の活動の中で生かしていきたいと思っています。
《こんな事例・あんな事例》
孤独死にならなくてよかった
親兄弟はすでになく結婚歴のない90代の男性。要介護3。一人で分譲マンションに住んでいる。高血圧があるがそれよりも高齢に
よる体力の低下が著しい。しかし積極的な医療行為は拒否、静かに自宅で最期を迎えたいと言う。ケアマネは自宅で過ごすのはも
う無理なので施設に入所させたいとの思いで任後後見契約の必要性を感じ私たちの会に相談を持ちかけた。
私たちが訪問したのは亡くなる9か月前、認知機能に問題はないものかなり弱っているように見えた。すぐにあんしん見守り契約
を結び月1回の訪問を開始。訪問5か月後には移行型任意後見契約と死後事務委任契約を結んだ。
しかし訪問する度に体力が落ちていっているのがわかる。在宅にこだわり施設入所をかたくなに拒んでいたが、訪問を開始して
8か月目、どうにも身動きできなくなりヘルパーによる介助は限界、食事もとれない状況で、少しお世話してもらいましょうの声
掛けでやっとショートステイ入所を承諾してくれた。この時点であんしん見守り契約から金銭管理を伴わない委任契約に移行した。
退所後に自宅へ戻った後の支援方法について、ケアマネ・訪問ヘルパー・主治医・私たちで話し 合おうとし
ていた矢先、入所4日目、ショートステイで急に状態が悪化し帰らぬ人となった。
最悪の結末―自宅での孤独死-だけは免れたことに少しだけ安堵した。しかし、もう少し前から 支援できて
いれば自宅で最期を迎えられるように準備できたのではないかという思いが残る。今は本人の希 望を最大限叶
えてあげたいとケアマネと密に協力できたことで、何とか気持ちを保っていると感じる。
死後事務委任契約を結んでいたため葬儀に関する事務や光熱費の解約等は滞りなく行えた。
あとは本人から依頼されている両親の墓へお骨を埋葬する手続きをして死後事務は終了となる。
<ふ>

2024年11月20日
《トピックス》
第4回「らしくの会」を開催しました
10月27日、子どもと福祉の未来館で第4回目となる「らしくの会」を開催しました
第1部では「親の任意後見契約」を取り上げました。
たとえば、知的障がいのある子どもと親ひとりだけの〝二人暮らし〟になったとき
① 親が入院したら、子どもの面倒を見てくれる人はいますか
② 親が入所したら入所手続きに協力してくれる親族はいますか ③ 親が認知症になった場合、親と子どもの行政の各種手続きをやってくれる親族はいますか

親一人子一人の家庭で、知的障害の子のお世話ができなくなったり、親が認知症になってしまうケースは十分考えられます。このような親子も安心して暮らせるための手段として任意後見契約を提案しました
第2部では、昨年の「らしくの会」で報告した内容を振り返りつつ、最近の成年後見制度改革の動向について説明を行いました。
今年2月15日、法務大臣が法制審議会に対し成年後見制度の見直しを諮問し、成年後見部会では毎月1~2回のペースで制度の見直しに向けた議論を行っています。部会では、成年後見制度が適切な時期に必要な範囲や期間で利用できるように(終身ではなく有期の制度に)・三類型(後見;保佐;補助)の一元化・後見人の円滑な交代・後見人の報酬や強すぎる権限(取消権など)の見直しなど多岐にわたって議論しています。2026年3月には結論が出る予定ですが民法改正が必要になる場合も考えられ、改革の実行にはさらに日を要する可能性があることなどをお伝えしました。
参加された皆様からはたくさんのご質問をいただきありがとうございました。
また、わかりやすい説明だった、自分の事として考えていきたいなどのご意見をいただきました。
《こんな事例・あんな事例》
お骨は捨ててほしいの
夫に先立たれ1人暮らしの高齢の女性。子どもはいない。親族はいないわけではないが疎遠なので迷惑はかけたくないと言う。「死んだらね、どうなってもいいの。だって自分がどうなったって自分にはわからないじゃない?」「お葬式なんていらない。お墓もいらない。お骨は燃やしたところで捨ててくれていい」
所沢市の場合、お骨は全骨持ち帰りと話すと、「じゃあ誰も身寄りがない人はどうなるの?」
身寄りがないと言われている方が亡くなった場合、市はまず戸籍から親族を探してご遺体の引き取りや火葬を依頼する。この方の場合は疎遠とはいえ親族がいるので、迷惑をかけたくないという本人の意思とは反対に探し出した親族に連絡し葬儀等を依頼することになる。もし親族がご遺体の引き取りを拒否した場合には市がご遺体を引き取り、法律に基づいて火葬・埋葬を行うことになる、と説明すると「それでいいじゃない?」と・ ・ ・ ・ ・

「あんしん見守り契約」を結んだ
訪問するたびに任意後見契約について説明するも、「だって契約しない人はどうなるの?
契約しない人はたくさんいるでしょ」と毎回平行線。ただ、自分一人では不安なことも実感
していたようで、訪問を開始して約半年後に何とか任意後見契約を結ぶことができた
その後けがをして入院、自宅での生活は無理となり施設入所へ。このタイミングで任意後見
契約の委任契約を開始している。しかし会えば「こんな契約結ぶんじゃなかった」と呪文のように
言っている。昔自分の親が騙され大変な目に合ったと話していたことがあり、簡単には他人を信じる
ことができないということか
最近になって遠くの親族と連絡が取れた。本人の意向と親族の関りなどについて今後相談していくことになる
<ふ>